【これぞ醍醐味!】元ディズニーキャストが明かす!最高に心が震えたゲストとのやり取り2選!

こんにちは、かばです。

過去にディズニーホテルのキャストとしてフロントで働いていた私ですが、そんな私が心から震えたゲストとのやり取りを2つ紹介します。

この記事を読めば、以下のことが分かります。

  • ディズニーの夢がどうやって作られているのか
  • サービス業の本当におもしろいと感じる部分
  • ディズニーキャストが与えられている裁量

 

ディズニーホテルのフロントキャストの業務

ディズニーホテルのフロント業務は、ホテル内でもっとも激務だと言われます。
その理由として、以下の2点があげられます。

1.24時間365日稼働していること
2.ホテル内のほぼすべてを掌握・管理していること

1.年中無休のフロント

ディズニーホテルに限りませんが、宿泊業はオン・オフシーズンの違いはあれど基本的に年中無休です。
なぜなら、宿泊業がもっともお客さんを入れられるのは、一般企業が休業する土日祝日だからです。

その他にも、

  • 年越し宿泊してパークで遊ぶ人
  • GWやお盆に長期宿泊をしてパークを満喫する人

というように、ディズニーホテルは休日が多いほどゲストを入れ、収益を上げることができるのです。

お父さん
お父さん

働き方改革を受けて、宿泊業界にも休館日を設ける施設が増えています。
離職率が高く生産性が低い宿泊業も、働き方改革によって従業員の待遇が良くなることは大事なことですね。

また、フロントではホテル内の細かな業務が、数え切れないほどあります。

  • チェックイン・チェックアウト
  • 宿泊予約の受付・キャンセル対応
  • レストランの予約受付
  • ゲストの荷物預かり受付
  • 宿泊料・飲食料の精算
  • ホテル内の会計処理
  • ベッドなどの配置変更依頼

これら以外にも、ゲストのすべての要望の窓口となります。
人の出入りがある日中だけでなく、宿泊予約の確認や精算の会計処理などは夜に行います。
ディズニーホテルでは、それぞれ500室以上あるので、それらすべての管理を夜に行うわけです。

お父さん
お父さん

深夜に「バスタオルを10セットもってきて」と、外国人ゲストに英語でサービスコールがかかったりします。

 

2.フロントはホテルの司令塔

ゲストがホテルに入って、最初に向かう場所はフロントです。
なぜなら、フロントに行けばホテルのことは何でも分かるからです。
さらに、ディズニーにはテーマパークまであるので、ゲストはフロントにパーク内の情報まで求めてきます。

求められるパーク内の情報としては、

  • 各パークの開園時間(日毎に異なる)
  • 各パークのショー・パレード開催時間
  • パーク内レストランの提供メニューと営業時間
  • おすすめのアトラクション
  • キャラクターに会える施設はどこか

など、パークキャストでないと分からないようなものまであります。

ホテル内の施設をすべて頭に入れるだけでなく、パークの情報も正確に答えられるようにしておきます。

お父さん
お父さん

実際にはすべての情報を覚えられないので、手もとの端末で調べられるようになっています。

 

すべてはゲストのために!

ディズニーの顧客満足度

ディズニーでは、ゲストの顧客満足度を高めることに価値を置きます。
ゲストの顧客満足度が上がれば、リピート率が上がるからです。
実際に、ディズニーのゲスト顧客満足度は75%以上、その中でもキャストへの顧客満足度は80%を超えます。
これらはパークに関しての調査ですが、ホテルキャストに対しても高い期待が寄せられます。

基本的にホテルでは、ゲストからの要望をキャストは断りません。
他のゲストに影響が出るなどの理由で断る場合はありますが、その場合にはホテルから何らかの補填が用意されます。
明らかにゲスト側の落ち度という場合にも、不愉快・不都合を感じさせたとしてホテルはゲストに謝罪します。

 

アップグレードの仕組み

顧客満足度を高めるために、フロントはありとあらゆる努力をします。
フロントが行える裁量で、もっとも大きなものは宿泊部屋の変更です。
実は、宿泊予約は予約した時点では部屋番号までは決まりません。
実際に部屋番号まで決まるのは、チェックイン手続時に手動・自動で決まっていきます。
なので、フロントキャストは自分の判断で、部屋の位置を変更することができるのです。

  • アップグレード:無償で部屋のランクを上げる。ただし、ゲスト同意が必要。
  • アップセル:有償(ただし大幅減額)で部屋のランクを上げる。フロントが営業。

これらの変更を行うかどうかは、部屋の稼働率やフロントの混雑具合などをみて、フロントキャストが判断します。具体的には、次の通りです。

  • 【15時頃】チェックイン混雑時:案内しません
  • 【17時頃】チェックイン残り約60%:アップセルを中心に案内します
  • 【20時頃】チェックイン残り約20%:アップグレードを中心に案内します

となります。
宿泊予約の仕組みは、「高い部屋ほど売れず、安い部屋ほど売れる」が前提に作られています。

  • 安い部屋の予約は、実際の部屋数よりも多く取る。
  • 高い部屋が余れば、安い部屋の予約から変更すれば良い。
  • その際、可能な限り差額をもらえれば売上に貢献できる。

ここで勘のいい人なら気付かれるかと思いますが、最上級スイートも当然アップグレードの対象です。
場合によっては、スタンダードルームの料金のまま、最上級スイートに宿泊することも可能なのです。

ただし、宿泊可能な部屋数の予約が入っていることが条件です。
空室が1部屋でもあると、スイートを使わなくとも全ゲストが泊まれてしまうからです。

このように、フロントキャストはゲストの顧客満足度を上げるために、予約の内容まで変えてしまうことがあるわけです。

お父さん
お父さん

狙い目は、エレクトリカルパレードや花火の時間がベスト。
チェックイン殺到時は、絶対に案内されないので避けましょう。

 

神対応すぎて心が震えてしまったゲスト2選

それでは、私が実際に経験した神対応のゲストを紹介します。
なお、個人情報にかかわる部分もあるので、内容は少し脚色してあります。

2回チェックインした青年

チェックイン混雑時間が過ぎた17時ごろ、1人の男性ゲストが私のカウンターに来ました。

予約確認すると、2名での予約ということでしたが、もう1名の姿がありません。
事情を聞くと、

  • 今日、部屋でプロポーズをするとのこと
  • 彼女には、プロポーズどころか、ホテルに宿泊することもサプライズ
  • 部屋に入る前にデコレーションしたい
  • エンゲージリングを、チェックイン後に持ってきてほしい
  • なので、チェックインは彼女と一緒に来た時にしたい

とのことでした。

ホテルのシステム上、チェックインは最初に部屋に入る時に行うものです。
チェックイン前に部屋に入る事ができません。

なので、私はいくつか提案をさせていただきました。

  • チェックインは、今ここで済ませよう
  • 部屋のデコレーションは可能なので、案内係のゲストと一緒にやってほしい
  • エンゲージリングは貴重品なので、キャストが預かり、持ち歩くことは不可能
  • そのかわり、デコレーション時に目立つところにセッティングしよう
  • 彼女と来館する時間は○○時(カウンターが空く時間)に、私のところに来てほしい
  • 彼女がいる前で、チェックイン手続きをしているフリをしよう

これらの提案に了承していただいて、私も手もとの端末に詳細を記入しました。
万一、私が休憩に入るよう言われてしまった場合に、誰でも対応できるようにしておく必要があったからです。

約束通り指定した時間に、彼女を連れて私のカウンターまでやってきました。

彼女は何も聞かされていない様子で、ディズニーホテルに宿泊できることを心から喜んでいるようでした。

チェックイン手続きをしているフリをし、カードキーを渡しました。

お父さん
お父さん

「(小声で)絶対に成功させてください!がんばって!いってらっしゃい!」

「はい!ありがとうございます!がんばってきます!」

次の日、チェックアウトのため再び私のカウンターに来られました。

お父さん
お父さん

「おはようございます。その様子だと、成功したみたいですね!」

「はい!色々とありがとうございました!幸せにします!」

「え!?もしかして全部知ってらっしゃったんですか?」

お父さん
お父さん

「キャストはゲストに夢を与えるのがお仕事ですからね。お幸せに!」

自分の機転がだれかの人生を支えることがある。
はじめて夢のある仕事だと実感した瞬間でした。

 

青森からきたカップル

閑散時刻となった20時ごろ、20代のカップルゲストがチェックインのため来館されました。

「こんばんは!チェックインよろしくおねがいします!」

お父さん
お父さん

「かしこまりました!」

とても礼儀正しく、かつ元気な彼氏さんでした。
そんな彼氏さんを、嬉しそうに見つめる彼女さんが横に。

お父さん
お父さん

「パークは楽しまれましたか?」

私がこのように切り出すと、次々と思い出を語ってくれます。

  • 二人とも今回が初めてのディズニーだったとのこと
  • はじめてのディズニーで、ホテルも楽しみにきたとのこと
  • 一生の思い出に残るような旅行にしたいとのこと
  • 二人で一生懸命お金を貯めて来たとのこと
お父さん
お父さん

「なるほど、ではホテルでも良い思い出を作ってくださいね」

そう言いながら、私は手もとの端末で空き部屋の状況を確認していました。

予約数は上限いっぱい、だけど予約はスタンダードルームを中心とした部屋のみ。

お父さん
お父さん

「少々お待ち下さいね」

そう言うと、私はエリアマネージャーのもとに向かいました。

お父さん
お父さん

「○○○○(部屋名)使っていいです?」

「ええけど、どんなゲストなん?(関西弁)」

ゲストの様子を説明し、

「ええやん!よっしゃ、行ったれ!喜ばしたれ!(関西弁)」

お父さん
お父さん

「了解しましたw」

ということで、カウンターに戻りゲスト対応を再開。

お父さん
お父さん

「おまたせしました。今回、お二人がはじめてのディズニーということで、私としても一生の思い出にしてほしいと思ってまして」

「はい」

お父さん
お父さん

「大したことはできないんですが、少し良いお部屋に無償でアップグレードさせていただきますね」

「いいんですか!」

お父さん
お父さん

「どうぞ、お楽しみください」

こうして、チェックインを済ませ、案内係にあとを託しました。

翌日、チェックアウトにこのカップルが、再び私のもとを訪れてくれました。

お父さん
お父さん

「チェックアウトですね。お部屋はどうでしたか?」

「震えました!もしかして、あれって…」

お父さん
お父さん

はい、当館の最高スイート、○○○○ルームです。忘れられない思い出になりましたでしょうか?」

「一生、忘れません!」

このように、お二人は帰っていかれました。

フロントの裁量である、予約部屋の移動を最大に使ってゲストに喜んでもらえた瞬間でした。

最上級スイートも、フロントの裁量でアップグレードが可能ではありますが、現場だけでなく上司にも確認した上で使うことが許されます。

しかし、1部屋しかないので、「このゲストに使わせてあげたい!」と思えるようなゲストに使ってもらいます。
その判断は、キャストによっても様々ですが、だいたいは共通しています。

  • カップルまたは夫婦
  • 礼儀正しい・明るい・丁寧
  • 男性が積極的に手続きをする
  • 何かしらの思い出づくりにきている

キャストも人間なので、対応していて嬉しくなるゲストには積極的にアップグレードをして喜んでもらいます。

 

フロントキャストのやりがいは、やっぱりゲスト対応である

フロントに立っていると、本当に色々なゲストと出会います。

中には、フロントキャストに対して、些細なことで罵倒したり、怒鳴るクレーマーのような人も来館されます。
そのような方でも、フロントキャストは誠意をもって対応しなければならない大変なお仕事です。

だからこそ、今回紹介したゲストのような、嬉しいエピソードは心に残ります。

ディズニーに来られるゲストは、キャストが素晴らしい対応をしてくれたと思い出を語ることが多いです。

しかし、それはゲストだけが思い出に残っているのではありません。

仕事の性質上、外部にはほとんど流れることはありませんが、キャストも素晴らしいゲストとのやり取りは印象に残ります。

キャストとしても、気持ちよくサービスを提供するには、やはりゲストの協力も必要なのです。

そして、最高のサービスができたことに、ゲストだけでなくキャストもやりがいに感じることができます。

 

まとめ

今回は、私が実際にディズニーホテルのフロントで出会った、心が震えるゲストを2組紹介しました。

  • 彼女へのプロポーズのために一生懸命に頑張った彼氏さん
  • 最高に気持ちいい誠実さと礼儀正しさでスイートに泊まったカップル

ディズニーホテルを退職してから数年が経過しますが、今だに鮮明に当時の情景を覚えています。

ディズニーだけではなく、どんな場所でも気持ちのいい人には最高のサービスをしようと思うものです。

心を込めてコミュニケーションをする人が、1人でも多くなれば良い社会になっていくんだろうと思います。

 

ではまた!

 

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